一陸特の計算問題を攻略!dB・電力・インピーダンス計算の基礎と解法
計算問題の全体像と出題パターン
一陸特の無線工学24問のうち、計算問題は例年5〜7問出題されます。苦手意識を持つ方が多い計算問題ですが、実は出題パターンはかなり限られており、繰り返し練習すれば十分対応できます。
| 計算テーマ | 例年の出題数(目安) | 難易度 |
|---|---|---|
| dB(デシベル)計算 | 1〜2問 | ★★★☆☆ |
| 電力・電圧・電流計算 | 1〜2問 | ★★☆☆☆ |
| インピーダンス・共振回路 | 1問 | ★★★☆☆ |
| 電波伝搬・アンテナ利得 | 1問 | ★★★★☆ |
| その他(変調・符号化など) | 0〜1問 | ★★★☆☆ |
💡 過去問の流用率が高い! 一陸特の計算問題は過去問からほぼそのまま出題されるケースが多いです。見たことのある問題が試験に出る確率が高いため、過去問を徹底的に解いて「問題の型」を覚えることが最も効果的な対策です。
dB(デシベル)計算の基礎
dBとは、電力や電圧の比率を対数で表した単位です。無線の世界では電力の大きさを表すのによく使われます。
📐 基本公式 電力比(dB)= 10 × log₁₀(P₂/P₁) 電圧比(dB)= 20 × log₁₀(V₂/V₁) ※ log₁₀ は常用対数(10を底とする対数)
必須の暗記値:dBと倍率の対応表
| dB値 | 電力倍率 | 電圧倍率(概算) |
|---|---|---|
| 0 dB | 1倍 | 1倍 |
| 3 dB | 約2倍 | 約1.4倍 |
| 6 dB | 約4倍 | 約2倍 |
| 10 dB | 10倍 | 約3.16倍 |
| 20 dB | 100倍 | 10倍 |
| 30 dB | 1000倍 | 約31.6倍 |
| −10 dB | 1/10倍 | 約1/3.16倍 |
📝 例題① 送信電力が10Wのとき、これを10dB増加させると何Wになるか? 解説:電力が「10dB増加」=電力が10倍になる。 10W × 10 = 100W
📝 例題② ある伝送路で入力電力100W、出力電力1Wのとき、伝送損失は何dBか? 解説:電力比 = 100/1 = 100倍の損失。 損失 = 10 × log₁₀(100) = 10 × 2 = 20dB(損失なので−20dBとも表現)
電力・電圧・電流の計算
電力の基本計算はオームの法則から派生します。抵抗Rにかかる電圧V、流れる電流I、発生する電力Pの関係です。
📐 電力の基本公式 V = I × R (電圧 = 電流 × 抵抗) P = V × I (電力 = 電圧 × 電流) P = I² × R = V² / R(代入変形)
📝 例題③ 50Ωの負荷に100Vの電圧がかかるとき、消費電力は何Wか? 解説:P = V² / R = 100² / 50 = 10000 / 50 = 200W
実効値(RMS値)の概念
交流電圧・電流には最大値と実効値があります。試験では実効値で計算するのが基本です。
📐 実効値と最大値の関係 実効値 = 最大値 / √2 ≈ 最大値 × 0.707
インピーダンスと共振回路の計算
インピーダンスは交流回路における「抵抗の概念を拡張したもの」です。コイル(インダクタ)とコンデンサを含む回路の計算が出題されます。
📐 インピーダンスの基本 コイルのリアクタンス:XL = 2π×f×L (Ω) コンデンサのリアクタンス:XC = 1 / (2π×f×C) (Ω) 共振周波数:f₀ = 1 / (2π√(LC)) (Hz)
💡 共振周波数の問題は毎年出る! LとCの値が与えられて共振周波数を求める問題や、共振周波数からLまたはCの値を求める問題が頻出です。公式をしっかり覚えておきましょう。
📝 例題④ コイル L = 10μH、コンデンサ C = 10pF の並列共振回路の共振周波数(MHz)を求めよ。 解説:f₀ = 1 / (2π√(10×10⁻⁶ × 10×10⁻¹²)) √(10⁻¹⁶) = 10⁻⁸ f₀ = 1 / (2π × 10⁻⁸) ≈ 1 / (6.28 × 10⁻⁸) ≈ 1.59×10⁷ Hz ≈ 約15.9 MHz
電波伝搬損失の計算
マイクロ波や無線通信の伝搬損失(自由空間伝搬損失)の計算が出題されます。
📐 自由空間伝搬損失(Friis伝搬式) L (dB) = 20×log₁₀(d) + 20×log₁₀(f) + 20×log₁₀(4π/c) 実用式:L (dB) ≈ 32.4 + 20×log₁₀(f[MHz]) + 20×log₁₀(d[km]) d:距離(km)、f:周波数(MHz)
⚠️ 伝搬損失計算のコツ 距離が2倍になると伝搬損失は+6dB増加、周波数が2倍になっても+6dB増加します。この「2倍→+6dB」という関係を覚えておくと、選択肢を絞り込む際に役立ちます。
計算問題の攻略戦略
計算問題は「捨てない」が正解
計算問題5〜7問を全部捨てると、無線工学24問中最大7問を落とすことになります。残り17問の知識問題で75点(15問正解)を確保するのは、かなりの高正答率が必要です。計算問題で2〜3問でも正解できれば、合格の確率が大きく上がります。
計算問題攻略の4ステップ
- STEP1:dB計算の基本変換表を完全暗記する(3dB=2倍、10dB=10倍)
- STEP2:オームの法則と電力公式を使いこなせるようにする
- STEP3:共振周波数の計算公式を暗記し、過去問で練習する
- STEP4:過去問の計算問題を全部解き、「型」ごとに分類して覚える
💡 手を動かして解くことが大切 計算問題は「見て理解」するだけでは解けるようになりません。必ず紙に書いて自分で計算する練習をしましょう。繰り返すうちに計算の「型」が体に染み込んでいきます。
計算問題が苦手な方へ:段階的対策法
計算問題が完全に苦手な方は、以下の段階を踏むことをおすすめします。
ステップ1:単位と倍率を理解する(1週間)
- dBの意味、電力と電圧の違い、単位変換(W⇔dBm)を学ぶ
- 電卓を使わず、暗記値(10dB=10倍など)で計算できる問題から始める
ステップ2:基本公式を手で書いて覚える(1週間)
- dB公式、電力公式、共振周波数公式を毎日10回以上手書きする
- 手を動かすことで、公式が体に染み込みやすくなります
ステップ3:過去問の簡単な計算問題から解く(1~2週間)
- 選択肢を見ながら「この選択肢は10倍だから+10dB」と逆算する力を鍛える
- 計算結果が選択肢にあるか確認する癖をつける
ステップ4:複雑な計算問題に挑戦(残り時間)
- 公式を複数組み合わせる問題に取り組む
- わからなくても、選択肢から「この選択肢はおかしい」と絞り込む力を養う
このように、いきなり難問に挑戦するのではなく、段階的に難度を上げることで、計算問題の恐怖心を払拭できます。
よくある質問
Q. 計算問題で電卓を使っていい?
試験会場によります。関数電卓は通常使用不可ですが、四則演算電卓なら使用可という会場が多いです。ただし、事前確認が必須です。電卓なしで計算できるレベルの訓練も平行して行うことをおすすめします。
Q. dB計算の応用問題が出た場合、どう対応する?
まず、「見たことのある型か」を判断します。過去問で出たことのある型なら、同じ公式を使えばOK。初めて見る型の場合は、選択肢の倍率を見て「+3dB=2倍」などの基本変換から逆算して、答えに近い選択肢を選ぶ「逆算戦略」が有効です。
Q. 共振周波数の計算が毎回間違います。
共振周波数の公式 f₀ = 1 / (2π√(LC)) は、指数が複雑です。以下の工夫が有効です。
- ステップ分解:分子=1、分母=2π、分母=√(LC)と分けて計算
- 単位確認:L(μH)とC(pF)の単位を Hz に統一してから計算
- 過去問の型を覚える:L=10μH、C=10pFの並列共振など、よく出る値の組み合わせを暗記する
単独の計算としてではなく、「この値の組み合わせはこの周波数」という対応づけで覚えると、本番で速く答えられます。
まとめ
📝 この記事のまとめ 一陸特の計算問題は5〜7問。パターンが限られているので対策しやすい。 dB計算は「10dB=電力10倍」「3dB=電力2倍」の対応表を暗記。 電力計算はオームの法則(P=V²/R)を押さえる。 共振周波数の公式(f₀=1/2π√LC)は頻出。必ず覚えよう。 計算問題は「捨てない」戦略が正解。2〜3問でも正解できれば合格に大きく貢献。 過去問の計算問題をすべて解いて「型」を覚えることが最も効率的。 苦手な方は段階的に難度を上げ、最終的には「選択肢から逆算する」力をつけましょう。