【完全解説】一陸特の試験科目・合格基準・出題傾向まとめ
試験の全体構成
第一級陸上特殊無線技士(一陸特)の試験は、「無線工学」と「法規」の2科目で構成されています。試験方式はマークシート形式(多肢選択式)で、記述問題は一切ありません。
| 科目 | 問題数 | 満点 | 合格基準点 | 試験時間 |
|---|---|---|---|---|
| 無線工学 | 24問 | 120点 | 75点以上(約62.5%) | 約2時間(科目まとめて実施) |
| 法規 | 8問 | 40点 | 25点以上(62.5%) |
⚠️ 両科目で基準点を超えないと不合格! 一陸特は総合点での判定ではなく、 各科目ごとに合格基準点が設けられています 。無線工学で75点以上、法規で25点以上を同時に満たす必要があります。どちらか一方が不足すると不合格となります。
無線工学の出題内容と傾向
一陸特の試験で最も難しいとされるのが「無線工学」です。24問のうち計算問題が5〜7問出題されます。残りは知識問題です。
無線工学の主な出題カテゴリ
① 電気回路・電子回路の基礎
- オームの法則・キルヒホッフの法則
- インピーダンス(抵抗・コンデンサ・コイル)
- 共振回路、フィルタ回路
- ダイオード・トランジスタの動作原理
② 無線送受信機の構成
- 変調・復調の方式(AM・FM・SSB・PSK・QAM など)
- 周波数変換・発振回路
- スーパーヘテロダイン受信機の構成と動作
- デジタル通信の基礎(符号化・誤り訂正)
③ 電波伝搬
- 地上波・空間波・対流圏散乱の伝搬特性
- フェージング・干渉
- マイクロ波回線の伝搬損失計算
④ アンテナ・給電線
- 半波長ダイポールアンテナ・八木アンテナなど
- アンテナ利得・有効長
- 特性インピーダンス・反射係数
⑤ 電源・測定
- 整流回路・安定化電源
- 各種測定器の使い方と測定方法
- 電力の計算(dB換算)
💡 計算問題の頻出テーマ dB(デシベル)計算、電力計算(W換算)、電圧・電流の計算、マイクロ波伝搬損失の計算が頻出です。dB計算は「10dB = 電力が10倍」「20dB = 電圧が10倍」といった基本変換を必ず覚えましょう。
法規の出題内容と傾向
一陸特の法規は8問出題されます(満点40点)。すべて知識問題で、計算問題はありません。主に電波法およびその関連法令からの出題です。
法規の主な出題テーマ
| テーマ | 主な内容 |
|---|---|
| 無線局の免許 | 免許の申請・審査・交付・変更・廃局の手続き |
| 無線設備の条件 | 空中線電力・変調度・周波数の許容偏差など |
| 無線従事者 | 資格の種類・操作範囲・免許の取得・主任無線従事者制度 |
| 運用 | 通信の秘密・呼出し・応答・遭難通信・緊急通信 |
| 監督 | 無線局の検査・電波の停止・廃局命令 |
| 罰則 | 電波法違反に対する罰則規定 |
✅ 法規は暗記で高得点が狙える! 法規は計算問題がなく、条文の内容を正確に暗記すれば高得点が狙えます。過去問の流用率も高いため、過去問を繰り返し解くだけでほぼ満点に近い得点ができます。無線工学が苦手な方は法規で貯金を作りましょう。
合格基準点と合格するための計算
「何問正解すれば合格できるか」を具体的に整理しましょう。
| 科目 | 問題数 | 1問の配点 | 合格基準 | 最低正解数 |
|---|---|---|---|---|
| 無線工学 | 24問 | 5点 | 75点以上 | 15問以上(約62.5%) |
| 法規 | 8問 | 5点 | 25点以上 | 5問以上(62.5%) |
つまり、無線工学は24問中15問(62.5%)以上、法規は8問中5問(62.5%)以上の正解が必要です。言い換えると、無線工学は9問まで間違えても合格、法規は3問まで間違えても合格できます。
💡 合格戦略:法規を確実に取り、無線工学で最低ラインを超える 8問しかない法規は落とせません。まず法規を確実に5問以上取ることを目標にし、無線工学では知識問題(17〜19問)で多くの正解を稼ぎ、計算問題はある程度解けるよう準備するという戦略が現実的です。
試験日程と申込方法
一陸特の試験は年3回実施されます。試験方式には従来の「筆記試験」とCBT(コンピュータベースドテスト)の2種類があります。
定期試験(筆記試験)のおおよその日程
| 試験回 | 試験月(目安) | 申込期間(目安) |
|---|---|---|
| 第1回 | 2月 | 前年12月〜1月 |
| 第2回 | 6月 | 4月〜5月 |
| 第3回 | 10月 | 8月〜9月 |
⚠️ 申込みはWebから!締め切りを忘れずに 申込みは公益財団法人日本無線協会のWebサイトから行います。申込締め切りは試験の約1〜2か月前です。締め切りを過ぎると次の試験まで受験できないため、スケジュールをしっかり確認しましょう。
CBT試験の特徴
CBT方式では全国300か所以上のテストセンターで受験できます。定期試験より受験機会が多く、自分の都合に合わせた日程調整が可能です。試験内容は定期試験と同等です。
よくある質問
Q. 試験会場に持参するものは?
受験票・写真付き身分証明書・筆記用具(消しゴム含む)が基本です。電卓の持込みは会場によって異なるため、事前に確認が必要です。関数電卓は使用できません。
Q. 一陸特に受験資格はありますか?
一切ありません。学歴・年齢・性別・国籍を問わず誰でも受験できます。他の無線資格の取得も不要です。
Q. 合格後の手続きは?
合格通知を受け取ったら、総務省に無線従事者免許証の交付申請を行います。申請に必要な書類(申請書・写真・手数料)を揃えて手続きすると、数週間で免許証が交付されます。
Q. 科目合格制度はありますか?
現在、陸上特殊無線技士試験には科目合格制度(片方の科目だけ合格して次回免除)はありません。両科目を同一試験日に受験し、両方で合格基準点を超える必要があります。
科目別の合格戦略
無線工学の戦略:「知識問題で稼ぐ、計算問題は得点源」
無線工学24問のうち、計算問題は5~7問です。つまり、知識問題だけで17~19問あります。合格基準75点(15問正解)を達成するには、以下のいずれかの戦略が考えられます。
戦略A:バランス型(初心者向け)
- 知識問題:17~19問中12~13問正解(約70%)
- 計算問題:5~7問中2~3問正解(約40~50%)
- 合計:15問正解で合格
戦略B:知識問題重視型(計算が苦手な方向け)
- 知識問題:17~19問中15~16問正解(約85~90%)
- 計算問題:5~7問中0~1問正解
- 合計:15~17問正解で合格
計算問題は難度が高いため、最初は「知識問題で確実に点を取り、計算問題は得点源」という認識を持つことが重要です。
法規の戦略:「確実に満点を狙う」
法規8問は計算なしの暗記問題です。合格基準25点(5問正解)ですが、実務的には以下の理由から、「満点」を目標にすべき科目です。
- 出題範囲が限定的:電波法とその関連法令がテーマで、改正がない限りは同じ内容が繰り返し出題
- 過去問の流用率が高い:2年分の過去問を繰り返せば、本番で見たことのある問題が大半
- 無線工学の時間を確保するため:法規で時間を使わず、無線工学に時間を充てられる
無線工学で計算問題に時間を取られる方は、法規で40点満点(8問全問正解)を確実に稼ぐことで、無線工学では計算問題を諦めるという選択肢も生まれます。
よくある質問
Q. 科目合格制度はある?
現在、陸上特殊無線技士試験には科目合格制度がありません。つまり、無線工学と法規の両方で合格基準点を「同一試験日に」達成する必要があります。「無線工学は不合格だったけど、法規は40点を取った」という場合も、両科目不合格扱いになります。
Q. 計算機は持ち込める?
会場によって異なります。関数電卓の持込みは通常不可ですが、通常の四則演算電卓は使用可の会場が多いです。事前に試験会場のルールを確認することが重要です。電卓が使えない場合に備えて、対数計算を頭でできるレベルの訓練も必要です。
Q. マークシート問題なので「勘」でも正解できる?
一陸特のマークシート問題は、単なる知識問題ではなく、選択肢を見て「この選択肢がなぜ間違っているのか」を判断する問題が多いです。特に計算問題では、「計算ミスしやすい選択肢」が用意されているため、単なる勘で正解する確率は低いです。選択肢の分析力を鍛えることが大切です。
試験当日の心構え
- 試験形式に慣れておく:本番まで2~3回は時間を計りながら過去問を通しで解く
- 計算ミスのリスクを理解する:計算問題では最後の1歩手前までは正しくても、最終的な単位変換や計算ミスで不正解になることが多い
- 法規から始める:心理的に楽な法規から始めることで、精神的安定を得てから無線工学に取り組める
まとめ
📝 この記事のまとめ 一陸特は「無線工学(24問)」と「法規(8問)」の2科目構成。 各科目で62.5%以上の得点が必要(科目ごとの足切りあり)。 無線工学に計算問題が5〜7問含まれる(dB計算・電力計算が頻出)。 法規は暗記問題のみ。過去問反復で高得点が狙える。 試験は年3回、CBT方式は随時受験可能。 受験資格なし。誰でも挑戦できる。
試験内容を把握できたら、次は実際の勉強スケジュールと学習方法を考えましょう。次の記事では、独学で一陸特に合格するための具体的なスケジュールと勉強法を解説します。