わかりみ.com陸上特殊無線技士編

第2級陸上特殊無線技士【法規・後編】完全攻略ガイド|運用・監督・業務書類

対象読者: 第3級陸上特殊無線技士の知識をお持ちの方 試験科目: 法規(12問・75%以上=9問以上正解で合格) 本記事の範囲: 運用・監督・業務書類


はじめに

本記事は二陸特・法規の後編です。前編(目的・定義・免許・無線設備・無線従事者)に続き、無線局の運用規則、検査と監督、そして業務書類の管理について解説します。

後編では遭難通信の詳細な手続き、ITUとの関係、定期検査・臨時検査の種別、業務書類の種類と保存義務など、二陸特固有の踏み込んだ内容が含まれます。


第5章:運用 ― 詳細な通信ルール

通信の原則(電波法第52条)

無線局は原則として免許状に記載された目的・通信事項・通信の相手方の範囲内で通信を行わなければなりません。ただし、以下の4種類の例外通信は範囲外でも許容されます。

条項 種類 内容の詳細
第1号 遭難通信 船舶または航空機が重大かつ急迫の危険に陥った場合に遭難信号を前置する通信
第2号 緊急通信 船舶・航空機が重大かつ急迫の危険に陥るおそれがある場合、または人命・船舶・航空機の安全に関する急迫の危険がある場合に緊急信号を前置する通信
第3号 安全通信 航行に対する重大な危険を予警するために安全信号を前置して行う通信
第4号 非常通信 地震・台風・洪水・津波・雪害・火災・暴動その他の非常事態において、有線通信を利用することができないか、または著しく困難な場合に行う人命救助・災害救援の通信

優先順位(試験頻出):

遭難通信(最優先) > 緊急通信 > 安全通信 > 非常通信

この優先順位は、危険の切迫度に応じて定められています。遭難通信を受信した無線局は、他のすべての通信を中断して対応する義務があります。

試験頻出ポイント: 優先順位「遭難 > 緊急 > 安全 > 非常」は確実に覚えましょう。また非常通信の条件「有線通信を利用することができないかまたは著しく困難な場合」も繰り返し出題されます。

遭難通信の詳細(試験頻出)

遭難通信は最優先で処理され、特別な義務が課せられます(電波法第66条・第67条)。

遭難通信を受信した局の義務:

  • 他の通信を中断し、遭難通信の援助に当たらなければならない
  • 遭難通信中は他の無線局が混信を与える電波を発射することを禁止

遭難周波数:

  • 国際的に定められた特定の周波数を使用する(海上移動業務では156.8MHz
  • この周波数は常時聴守することが求められる局がある

宰領局の報告義務(試験頻出):

  • 遭難通信を宰領(指揮・統括)した無線局は、通信が終了した後に総務大臣に報告する義務がある

試験頻出ポイント: 「遭難通信を宰領した無線局は総務大臣への報告義務がある」は過去問の定番です。「報告義務がない」などの誤った記述に注意してください。

呼び出しと応答の手順

業務用無線での通信の基本手順は以下の通りです(参考)。

呼び出しの例: 「△△(相手局のコールサイン)、こちらは○○(自局のコールサイン)、どうぞ」

応答の例: 「○○(呼び出した局のコールサイン)、こちらは△△、感度○、どうぞ」

終了の手順: 「以上で通信を終わります」

無線設備の設置場所と免許状(試験頻出)

無線局を運用する場合、無線設備の設置場所免許状に記載されたところによらなければなりません(電波法第53条)。

試験頻出ポイント: 「無線局の運用における無線設備の設置場所はどの書類に記載されているか」→ 正解は「免許状」(過去問No.1問7)。「免許申請書の写し」「免許証」ではありません。なお、遭難通信を行う場合は例外的に免許状の設置場所に関わらず運用できます。

擬似空中線回路(試験頻出)

無線局は、無線設備の機器の試験又は調整を行うために運用するときは、なるべく**擬似空中線回路(ダミーロード)**を使用しなければなりません(電波法第57条)。

擬似空中線回路を使う理由:

  • 実際のアンテナに接続して試験すると、電波が空中に放射されて他の局に混信を与える恐れがある
  • 擬似空中線は電気的にアンテナと同等の負荷を持つが、電波を放射しない

試験頻出ポイント: 「無線設備の機器の試験又は調整を行うために運用するとき」が擬似空中線回路の使用条件(過去問No.2問7)。「開発」「研究」「調査」などは誤りです。

秘密の保護(試験頻出)

電波法第59条(秘密の保護):

「何人も法律に別段の定めがある場合を除くほか、特定の相手方に対して行われる無線通信を傍受してその存在若しくは内容を漏らし、又はこれを窃用してはならない。」

試験頻出ポイント: 保護される通信は「特定の相手方に対して行われる無線通信」(過去問No.3問7)。「暗語による無線通信」に限定されない点、「特定の周波数を使用する通信」でもない点に注意。

罰則: 1年以下の懲役または50万円以下の罰金

非常通信後の報告義務(試験頻出)

非常通信を行った免許人は、総務省令で定める手続きにより、総務大臣に報告しなければなりません(電波法第80条)。

試験頻出ポイント: 非常通信後の義務は「総務大臣への報告」(過去問No.3問9)。「通信記録を1年間保存」「地方防災会議会長へ通知」「非常災害対策本部長へ届け出る」などは誤りです。

混信の防止義務(第56条)

電波法第56条(混信等の防止):

「無線局は、他の無線局または電波天文業務に有害な混信を与える電波の発射を停止することを要求された場合は、その要求に応じなければならない。」

混信が発生した場合、要求された側は速やかに電波発射を停止する義務があります。この義務は免許の種別や局の種類を問わず適用されます。

周波数の割り当てと利用計画

日本国内の周波数は、電波法に基づいて総務省が策定する周波数割り当て計画に従って各業務に割り当てられています。

周波数帯 主な用途
150MHz帯(VHF) 業務用移動通信(タクシー、消防等)
400MHz帯(UHF) 業務用移動通信(警察、防災無線等)
700MHz〜3.5GHz帯 携帯電話(4G・5G)
5GHz帯 無線LAN(Wi-Fi)、気象レーダー
11GHz・22GHz帯 マイクロ波多重通信
1.2GHz帯 携帯電話(二陸特が関与する基地局の一部)

ITU(国際電気通信連合)との関係

電波は国境を越えて伝搬するため、国際的な調整が必要です。**ITU(International Telecommunication Union:国際電気通信連合)**はその調整機関です。

ITUの主要規則:

  • 無線通信規則(RR:Radio Regulations): 周波数の割り当て、通信の手順などを規定
  • 国際電気通信規則(ITR): 国際的な電気通信の基本原則

日本はITUの加盟国として、無線通信規則を遵守する義務があります。特に遭難・緊急通信の国際手順や、周波数の国際協調に関わる部分は電波法にも反映されています。

国際規則が特に適用される通信:

  • 船舶局・航空機局との通信(国際的な遭難・安全通信手順)
  • 海上移動業務(国際呼び出し周波数:156.8MHz等の使用)

第6章:監督 ― 総務大臣による電波秩序の維持

検査制度の種類(試験頻出)

総務大臣は電波法令の施行を確保するため、無線局に対して検査を行うことができます(電波法第73条)。

種類 実施時期・条件 内容
定期検査 定期的(通常3〜5年に1回) 電波法令への適合状況を確認
臨時検査 臨時に電波の発射の停止を命じられたとき等 特定の問題が生じた場合に随時実施

定期検査の周期は無線局の種類によって異なります。定期検査の対象外となる局(技術基準適合証明等を受けた機器のみを使用する局など)もあります。

試験頻出ポイント: 臨時検査が行われる代表的な条件は「臨時に電波の発射の停止を命じられたとき」です(過去問No.1問9、No.2問11、No.3問8)。「特定の周波数を変更したとき」「免許を更新したとき」などは誤りです。3つの試験で繰り返し出題されている最重要項目です。

電波の発射停止命令(試験頻出)

電波の質が総務省令の技術基準に適合していないと認めるとき、総務大臣は当該無線局に対して臨時に電波の発射の停止を命じることができます(電波法第72条)。

試験頻出ポイント: 「電波の質が総務省令の技術基準に適合しない」→「臨時に電波の発射の停止を命ずることができる」という流れが過去問の定番です(No.1問8、No.2問8)。「電波の型式を変更する」「即時廃局処分にする」などは誤りです。

業務改善命令(第71条)

総務大臣は、電波の利用が適正でないと認めた場合、無線局の業務改善を命じることができます。

業務改善命令の対象:

  • 技術基準を満たさない無線設備を使用している場合
  • 電波の発射が適切でない場合
  • 混信を繰り返している場合

無線局の免許の取消しと運用停止(試験頻出)

総務大臣は、電波法違反等があった場合、免許の取消しまたは期間を定めた運用の停止を命じることができます(電波法第76条)。

処分の種類 内容
免許の取消し 無線局の免許そのものを剥奪する
運用の停止 一定期間、無線局の運用を禁止する

免許の取消しの事由(第76条):

取消事由 内容
不正取得 不正な手段によって免許を受けたとき
未開設 正当な理由なく免許後6ヶ月以内に開設しないとき
長期休止 正当な理由なく6ヶ月以上運用を休止したとき
法令違反 電波法またはその命令に違反したとき
欠格事由該当 欠格事由に該当することとなったとき

試験頻出ポイント: 「免許の取消し」と「運用の停止」の両方が総務大臣の処分として規定されており、どちらかを問う選択肢が出題されます(No.1問10、No.3問10)。「電波の停止」「廃局命令」などの用語は正式名称ではありません。

無線従事者の免許の取消しと業務従事停止(試験頻出)

総務大臣は、無線従事者が電波法またはその命令に違反したときは、無線従事者の免許の取消しまたは3ヶ月以内の業務従事停止を命じることができます(電波法第79条)。

処分の種類 内容
免許の取消し 無線従事者免許を剥奪する
業務従事停止 3ヶ月以内の期間、従事を禁止する

試験頻出ポイント:3ヶ月以内の業務従事停止」という数字が問われます(過去問No.1問11、No.2問9、No.3問11)。「6ヶ月以内」「1年以内」などとの混同に注意してください。

主な罰則まとめ(試験頻出)

違反行為 罰則
無免許での無線局開設 1年以下の懲役または100万円以下の罰金
通信の秘密の漏えい 1年以下の懲役または50万円以下の罰金
免許内容に違反した運用 1年以下の懲役または100万円以下の罰金
虚偽の申告・届出 6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金

総合通信局

無線局の免許・監督等の業務は、総務省の地方機関である総合通信局が担っています(北海道、東北、関東、信越、北陸、東海、近畿、中国、四国、九州、沖縄の11局)。


第7章:業務書類 ― 記録と管理の義務

業務書類の概要(試験頻出)

無線局が備え付けなければならない主な業務書類は次の通りです。

書類名 内容
免許状 総務大臣から交付された無線局の免許証明文書
無線業務日誌 無線局の運用状況を記録する帳簿
無線従事者免許証(または写し) 操作する者が携帯・備え付け
無線設備の点検記録 定期的な点検・整備の記録

試験頻出ポイント: 固定局が備え付けなければならない書類として正しいのは「免許状」です(過去問No.1問12、No.2問12、No.3問12)。「免許証」「免許申請書の写し」「無線局事項書」などは誤りです。「免許状」と「免許証」は別物であることに注意:免許状は無線局に交付される文書、無線従事者免許証は個人に交付されるものです。

免許状の掲示義務

無線局の免許状は、主たる送信装置のある場所に掲示しなければなりません(電波法第22条)。

例外:

  • 移動局(車載機・携帯機)など掲示が困難な場合は、免許状(または写し)を携帯または保管することで代えることができます。

無線業務日誌の記載義務

固定局など一定の無線局では、**無線業務日誌(ログブック)**の備え付けが義務付けられています。

無線業務日誌の記載事項(主なもの):

  • 通信の開始・終了の年月日および時刻
  • 通信の相手方の識別信号(コールサイン)
  • 使用した電波の型式および周波数
  • 通信事項の要旨
  • 送信した空中線電力
  • その他電波法施行規則で定められた事項

異常があった場合の記載:

  • 他の無線局からの不正な電波を受信した場合
  • 無線設備の故障等の異常が生じた場合

業務書類の保存期間:

書類の種類 保存期間
無線業務日誌 3ヶ月
免許状 廃止(または免許失効)まで
無線設備の点検記録 次回の点検まで

試験頻出ポイント: 無線業務日誌の保存期間は「3ヶ月」です。「1年」「6ヶ月」などの誤りに注意してください。

廃止の届出と免許状の返納

廃止の届出: 無線局を廃止したときは、遅滞なく総務大臣に届け出なければならない(電波法第22条)。

免許状の返納: 次の場合は、1ヶ月以内に免許状を総務大臣に返納しなければならない。

  • 無線局を廃止したとき
  • 免許が取り消されたとき
  • 免許の有効期間が満了したとき

定期的な点検・整備

無線局の無線設備は、常に適正な状態に保つ義務があります(電波法第28条・第30条)。

点検の内容:

  • 送信周波数が許容偏差内に収まっているか
  • 空中線電力が許可された範囲内か
  • スプリアス発射が規定値以内か
  • アンテナ・給電線が正常な状態か

定期的な点検・整備の記録は業務書類として保管することが推奨されています。


後編のまとめと試験対策

この範囲の頻出テーマ(過去問3回分の出題実績)

順位 テーマ 出題回数(3回中) 出題形式
1 固定局が備え付ける書類(免許状) 3回 選択
2 臨時検査が行われる条件(電波発射停止命令を受けたとき) 3回 選択
3 無線従事者の業務従事停止(3ヶ月以内) 3回 選択
4 秘密の保護(特定の相手方への無線通信) 3回 選択
5 電波の質不適合→臨時電波発射停止命令 2回 選択
6 擬似空中線回路の使用条件(試験又は調整) 1回 選択
7 無線設備の設置場所は免許状に従う 1回 選択
8 非常通信後の報告義務(総務大臣に報告) 1回 選択
9 無線局の免許取消・運用停止の区別 2回 選択
10 遭難・緊急・安全・非常通信の優先順位 全回 選択

重要な数字まとめ(法規全体)

事項 数値
電波の定義上の上限周波数 300万MHz(3THz)
無線局免許の有効期間 5年
再免許申請の期間 満了の1ヶ月以上6ヶ月以内
欠格事由(刑の経過年数) 2年未満
特定無線局の最低局数 10局以上
二陸特:1,215MHz未満電力上限 50W以下
二陸特:1,215MHz以上電力上限 10W以下
主任無線従事者講習の受講期限 選任後6ヶ月以内
免許未開設による取消対象 6ヶ月以内に開設しない場合
運用休止による取消対象 6ヶ月以上の休止
無線業務日誌の保存期間 3ヶ月
免許状の返納期限 1ヶ月以内
無線従事者の業務従事停止の上限 3ヶ月以内
無免許開設の罰則 1年以下の懲役または100万円以下の罰金
通信秘密漏えいの罰則 1年以下の懲役または50万円以下の罰金

重要用語チェックリスト(後編)

運用(★は過去問3回中2回以上出題)

  • ★ 秘密の保護(第59条):「特定の相手方に対して行われる無線通信」が保護対象
  • 非常通信の条件(有線通信が使えないか著しく困難)
  • 遭難・緊急・安全・非常通信の定義と優先順位(遭難 > 緊急 > 安全 > 非常)
  • ★ 無線設備の設置場所は「免許状」に記載されたところによる
  • 擬似空中線回路:「試験又は調整」のときに使用
  • 非常通信後の報告義務:総務大臣に報告
  • 遭難通信宰領局の報告義務(総務大臣へ)
  • 混信防止義務(第56条)

監督(★は過去問3回中2回以上出題)

  • ★ 電波の質不適合→臨時に電波の発射の停止を命じる(第72条)
  • ★ 臨時検査が行われる条件:臨時に電波の発射の停止を命じられたとき
  • ★ 無線局の処分:免許の取消し or 運用の停止(第76条)
  • ★ 無線従事者の処分:免許の取消し or 3ヶ月以内の業務従事停止(第79条)
  • 免許取消の事由(未開設6ヶ月・休止6ヶ月・不正取得・法令違反)
  • 無免許開設の罰則(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)
  • 通信秘密漏えいの罰則(1年以下の懲役または50万円以下の罰金)

業務書類(★は過去問3回中2回以上出題)

  • ★ 固定局が備え付ける書類:「免許状」(免許証・免許申請書の写しではない)
  • 無線業務日誌の保存期間(3ヶ月)
  • 免許状の掲示場所(主たる送信装置のある場所)
  • 廃止時の届出(遅滞なく)・免許状の返納(1ヶ月以内)

本記事は試験対策を目的とした学習用コンテンツです。前編(目的・定義/免許/無線設備/無線従事者)と合わせてご活用ください。最新の試験情報は日本無線協会の公式サイトでご確認ください。

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