わかりみ.com陸上特殊無線技士編

第2級陸上特殊無線技士【法規・前編】完全攻略ガイド|目的・定義から無線従事者まで

対象読者: 第3級陸上特殊無線技士の知識をお持ちの方 試験科目: 法規(12問・75%以上=9問以上正解で合格) 試験方式: CBT方式(全国300以上の試験会場で随時受験可能) 合格率: 70〜75%程度 学習時間の目安: 15〜25時間 本記事の範囲: 目的・定義・無線局の免許・無線設備・無線従事者


はじめに

第2級陸上特殊無線技士(二陸特)の法規試験は、三陸特で学んだ電波法の基本知識を土台に、より詳細な規定を問います。問題数は同じ12問ですが、出題の深さと範囲が広がります。

本記事(前編)では、三陸特で学んだ内容を復習しながら、二陸特固有のポイントを中心に目的・定義から無線従事者までを深く掘り下げます。後編では運用・監督・業務書類を扱います。


第1章:目的・定義 ― 電波法を深く理解する

電波法の目的条文(第1条)

三陸特でも学んだ電波法第1条ですが、二陸特ではより正確な理解が求められます。

「この法律は、電波の公平かつ能率的な利用を確保することによって、公共の福祉を増進することを目的とする。」

重要なのは「公平かつ能率的」という2つのキーワードです。

  • 公平:特定の者が電波を独占せず、誰もが平等に利用できるよう管理する
  • 能率的:限られた周波数資源を最大限に活用できるよう管理する

試験頻出ポイント: 「公平かつ能率的」の2語は一字一句正確に覚えましょう。「公平かつ効率的」「公平かつ有効な」などの誤った表現が選択肢に含まれることがあります。

電波法が規定する「電波」の定義

電波法第2条第1号:

「電波とは、三百万メガヘルツ以下の周波数の電磁波をいう。」

三百万MHz = 3THz。これ以上の周波数は赤外線・可視光線・X線などと呼ばれ、電波法の対象外です。

重要な定義の精緻化(第2条)

二陸特では定義の細部が問われます。特に「無線局」「無線設備」「無線従事者」の区別を正確に理解しましょう。

無線設備(第2条第4号):

「無線電信、無線電話その他電波を送り、又は受けるための電気的設備をいう。」

無線局(第2条第5号):

「無線設備及び無線設備の操作を行う者の総体をいう。ただし、受信のみを目的とするものを含まない。」

無線従事者(第39条関連):

無線設備の操作又はその監督を行う者であって、総務大臣の免許を受けたものをいう。」

試験頻出ポイント: 「無線局に配置された者」「無線局を運用する者」「無線局を管理する者」などの誤った表現と区別しましょう。過去問(No.1問4)で選択肢として出題されています。

ポイント(無線局の定義):

  • 無線局 = 無線設備 + 操作者(の総体)
  • 受信専用の設備(ラジオ受信機など)は無線局に含まれない
  • 設備だけでも操作者だけでも無線局にはならない

定義比較表(三陸特の復習)

用語 定義の核心 よくある誤りの選択肢
電波 300万MHz以下の電磁波 「3000万MHz以下」「30万MHz以下」
無線局 設備+操作者の総体(受信専用を除く 「受信専用機も無線局に含む」
無線設備 電波を送受信する電気的設備 「機械的設備」「送信専用」
無線従事者 無線設備の操作又はその監督を行う者 「無線局を運用する者」「管理する者」

第2章:無線局の免許 ― より詳しい手続きを理解する

免許申請と審査基準

無線局を開設するには、原則として総務大臣の免許が必要です(電波法第4条)。

審査基準(電波法第7条):

審査では以下の4点が確認されます。

  1. 工事設計が**技術基準(電波法第3章)**に適合しているか
  2. 周波数の割り当てが可能か
  3. 混信防止等の措置が適切か
  4. 申請者が欠格事由に該当していないか

免許の欠格事由(第5条)― 試験頻出

以下に該当する者は、一定の無線局(放送局・基幹放送関係等)の免許を受けられません。

欠格事由 対象
日本の国籍を有しない人(外国人) 個人
外国政府または外国の法人・団体 法人等
電波法または放送法に違反して罰金以上の刑に処され、2年を経過しない者 個人・法人
上記の欠格者が役員・代表者に含まれる法人 法人

試験頻出ポイント: 「罰金以上の刑に処され2年を経過しない者」という期間が問われます。懲役・禁錮だけでなく罰金刑も含む点、また期間が「2年」であることを正確に覚えましょう。「3年」「5年」などの誤った数字が選択肢に出ます。

予備免許(第8条)

総務大臣は申請が審査基準に適合すると認めたときは予備免許を交付します。

予備免許時に指定される事項(試験頻出):

電波の型式及び周波数、呼出符号または呼出名称、空中線電力、運用許容時間、工事落成の期限

試験頻出ポイント: 予備免許時に指定される事項として「電波の型式及び周波数」が正解(過去問No.2問1)。「通信の相手方及び通信事項」「無線局の目的」「免許の有効期間」などは予備免許時の指定事項ではありません。

予備免許を受けた者の義務:

  • 無線設備の設置場所の変更は許可申請が必要(届出では不可)
  • 工事完了後、速やかに総務大臣に届け出る
  • 指定期間内に工事を完了すること(工事落成期限の指定)

工事落成後の手続き:

工事落成の届出
  ↓
総務大臣による検査(電波法第10条)
 ※検査の省略が認められる場合あり
  ↓
検査合格 → 正式免許の交付

試験頻出ポイント: 設備変更工事の許可を受けた後、総務大臣の検査を受け工事が許可内容に適合していると認められた後でなければ、その設備を運用してはなりません(過去問No.1問2)。「工事完了後すぐに運用可能」「届け出れば運用可能」ではありません。

特定無線局制度(試験頻出)

多数の同種の無線局を一括して免許できる制度が特定無線局です(電波法第27条の2)。

特定無線局の要件:

  • 同一の者が10局以上の同種の無線局を開設しようとするとき
  • 無線局の目的・通信事項・通信の相手方が同一であること
  • 使用する電波の型式・周波数が同一であること

メリット:

  • 1つの免許でまとめて管理できる(個別申請が不要)
  • 手続きの効率化が図れる
  • タクシー会社の移動無線局など、多数の同種局を運用する事業者に適している

試験頻出ポイント: 特定無線局の最低局数は「10局以上」です。

免許の有効期間・再免許・変更

有効期間: 原則5年(再免許を受けた固定局の有効期間も5年

再免許申請の期間(試験頻出):

無線局の種別 再免許申請の期間
固定局(有効期間1年超) 有効期間満了前3ヶ月以上6ヶ月以内
その他の無線局(一般) 有効期間満了前1ヶ月以上6ヶ月以内

試験頻出ポイント: 固定局の再免許申請期間は「満了前3ヶ月以上6ヶ月を超えない期間」です(過去問No.3問2)。「1ヶ月まで」「2ヶ月まで」などの誤りに注意してください。

識別信号の変更(試験頻出): 免許状に記載された識別信号(コールサイン等)の変更を受けようとするときは、総務大臣に変更を申請しなければなりません(過去問No.2問2)。「届け出る」ではなく「申請する」であることに注意。

変更の手続き:

変更の種類 必要な手続き
周波数・電波型式・空中線電力の変更 事前の許可申請
識別信号の変更 総務大臣への申請
電波の型式が同じで空中線電力が小さくなる変更 事前の届出
無線設備の軽微な変更 工事終了後に遅滞なく届出
免許状記載の住所変更 遅滞なく届け出る

第3章:無線設備の技術基準 ― より詳しく理解する

技術基準の体系

電波法では、無線設備が満たすべき技術基準を定めています。具体的な数値基準は主に無線設備規則に規定されています。

周波数の許容偏差

発射する電波の周波数が、許可された周波数からのずれの許容範囲を周波数の許容偏差といいます。単位はppm(百万分率)またはHzで表されます。

計算例: 150MHzの送信機の許容偏差が±10ppmの場合の許容範囲は?

$$\text{許容範囲} = 150 \times 10^6 \times \frac{10}{10^6} = \pm 1{,}500 \text{ Hz}$$

スプリアス発射(不要電波)― 試験頻出

意図しない周波数の電波が放射されることをスプリアス発射といいます。

種類 説明
高調波 基本周波数の整数倍の周波数成分(第2高調波、第3高調波など)
低調波 基本周波数の整数分の1の周波数成分
寄生発射 発振器・増幅器の非線形動作による意図しない発射
相互変調 複数の信号が混合して生じる不要成分

スプリアス発射は他の無線局への混信を引き起こすため、厳しい規制が設けられています。

試験頻出ポイント: スプリアス発射の4種類(高調波・低調波・寄生発射・相互変調)の区別は過去問の定番です。「高調波は基本周波数の整数倍」という定義を正確に覚えましょう。

占有周波数帯幅

実際の信号が占有する周波数帯域幅の定義:

総放射電力の**99%**を含む周波数帯幅

残り1%の成分(上下各0.5%)は帯域外に存在することを許容します。

空中線電力の種類(試験頻出)

無線設備規則では、空中線電力の測定基準として以下を規定しています。

種類 内容 主な適用場面
尖頭電力(PEP) 変調信号の最大瞬時電力 SSB(J3E)送信機
搬送波電力 無変調時の電力 AM・FM送信機
平均電力 一定時間内の平均電力 デジタル変調方式

電波型式の読み方(完全版)― 試験頻出

三陸特では基本的な型式(A3E、F3E、J3E)を学びましたが、二陸特では詳細な電波型式の読み方が問われます。

1文字目:主搬送波の変調の型式

記号 変調方式
A 振幅変調(AM)両側波帯
F 角度変調・周波数変調
J 振幅変調・単側波帯抑圧搬送波(SSB)
G 角度変調・位相変調
P パルス変調
N 無変調

2文字目:変調する信号の性質

記号 内容
0 変調信号なし
1 デジタル信号(副搬送波なし)
2 デジタル信号(副搬送波使用
3 アナログ信号(音声)
7 複数の独立したチャネルのデジタル信号

3文字目:伝達情報の型式

記号 内容
E 電話(音声)
D データ伝送・遠隔測定・遠隔指令
N 情報なし(無情報)
W 上記の組み合わせ

試験頻出の電波型式一覧:

型式 読み方 用途
A3E AM両側波帯電話 AM放送、航空通信
F3E FM電話 業務用FM無線
J3E SSB電話 短波通信
F1D FM変調のデータ(副搬送波なし) デジタル業務無線
F2D FM変調のデータ(副搬送波あり デジタル遠隔測定等
G1E 位相変調の電話 デジタル携帯電話
F7W FM変調の複合伝送 多重通信
P0N パルス変調で変調信号なし・無情報 レーダー等

試験頻出ポイント①: 「パルス変調で変調信号がなく無情報のもの」→ P0N(過去問No.2問3)。Pはパルス変調、0は変調信号なし、Nは無情報です。

試験頻出ポイント②: 「FM変調・デジタル信号・副搬送波使用・データ伝送」→ F2D(過去問No.3問3)。2文字目の「2」が副搬送波使用のデジタル信号を示します。


第4章:無線従事者制度の詳細

資格体系と操作範囲

陸上特殊無線技士の資格は1〜3級があり、上位が下位を包含します。

資格 操作可能電力と周波数帯
第1級陸上特殊無線技士 すべての陸上無線局の無線設備の技術操作(制限なし)
第2級陸上特殊無線技士 50W以下(1,215MHz未満)・10W以下(1,215MHz以上)
第3級陸上特殊無線技士 50W以下・25,010kHz以上・多重無線設備を除く

二陸特の操作範囲(詳細・試験頻出)

電波法施行令第3条より、二陸特が操作できる無線設備は次の通りです。

第2級陸上特殊無線技士の操作範囲:

  1. 陸上移動業務等に係る無線局の無線設備で次のいずれかに該当するもの:

    • 空中線電力が50W以下のもの(25,010kHz以上960MHz以下の周波数を使用・レーダーを除く)
    • 空中線電力が10W以下のもの(960MHz超〜1,215MHz未満および1,215MHz以上の周波数を使用)
  2. 人工衛星局の中継により無線通信を行う無線局の多重無線設備の外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作(50W以下

過去問での出題パターン(重要):

過去問 問われた内容 正解
No.1問5 人工衛星局中継の多重無線設備外部転換装置の技術操作 50W以下
No.2問5 25,010kHz〜960MHzの無線設備(レーダー除く)の外部転換装置 50W以下
No.3問5 空中線電力50W以下の無線設備(レーダー除く)の外部転換装置の周波数 25,010kHz〜960MHz

試験頻出ポイント: 二陸特の操作範囲は「25,010kHz〜960MHz → 50W以下」「960MHz超〜 → 10W以下」が基本。また「外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないもの」という条件が問題文に含まれることに注意してください。

三陸特との違い:

項目 三陸特 二陸特
主な操作可能周波数 25,010kHz以上 25,010kHz以上(より広い)
960MHz以下の電力上限 50W以下 50W以下(同じ)
960MHz超の電力上限 操作不可 10W以下で操作可
多重無線設備 除く 人工衛星中継局の外部転換装置は操作可

無線従事者免許証の管理

免許証の交付: 総務大臣(申請先は各地方の総合通信局等)

携帯義務: 無線局の無線設備を操作するときは、免許証を携帯しなければならない(電波法第79条)

有効期限: 無線従事者免許に有効期限はなく、更新不要(終身有効)

記載事項の変更(氏名変更等):

  • 氏名が変わった場合:免許証の訂正申請または再交付申請が必要
  • 申請先:総務省の総合通信局等

再交付申請:

  • 汚損・破損・紛失の場合:再交付申請可能
  • 再交付を受けた後に失っていた免許証を発見したときは、発見した日から10日以内に総務大臣へ返納しなければならない(過去問No.3問6)

無線従事者免許を与えないことができる者(試験頻出):

以下に該当する者には免許を与えないことができます(電波法第42条)。

欠格事由 期間
無線従事者の免許を取り消された者 取消しから2年を経過しない
刑法に規定する罪を犯し罰金以上の刑に処せられた者 執行終了等から2年を経過しない

試験頻出ポイント: 無線従事者(操作者)免許の欠格事由は「取り消されて2年を経過しない者」(過去問No.2問4)。「5年」「3年」などの誤りに注意。「日本の国籍を有しない者」は無線従事者の欠格事由ではない(無線局の一部免許の欠格事由)。

主任無線従事者制度の詳細

主任無線従事者は無線局が選任できる制度で、以下の役割があります。

役割: 無線局の無線設備の操作を行う者を監督する

要件:

  • 当該無線局の種別・規模に応じた資格の無線従事者

義務:

  • 選任された日から6ヶ月以内に「主任無線従事者講習」を受講しなければならない(電波法第39条の2・過去問No.3問4)

⚠️ 重要: 講習受講期限は「6ヶ月以内」です。「3ヶ月以内」は誤りです。選択肢に「6箇月」「1年」「3箇月」「5年」が出ますが、正解は「6箇月(6ヶ月)」です(過去問No.3問4)。

選解任の届出(試験頻出):

  • 主任無線従事者を選任または解任したときは、遅滞なくその旨を総務大臣に届け出なければならない(過去問No.1問12)
  • 「1ヶ月以内」「2週間以内」ではなく「遅滞なく」が正解

効果:

  • 主任無線従事者の監督のもとでは、無線従事者の資格を持たない者でも一定の無線設備の操作が可能

前編のまとめと試験対策

この範囲の頻出テーマ(過去問3セット分析)

順位 テーマ 出典
1 二陸特の操作範囲(周波数帯×電力の組み合わせ) No.1問5・No.2問5・No.3問5
2 電波型式の読み方(P0N・F2D・F7W等) No.2問3・No.3問3
3 主任無線従事者の講習期限(6ヶ月以内 No.3問4
4 予備免許時に指定される事項(電波の型式及び周波数) No.2問1
5 設備変更後の運用条件(検査受検後) No.1問2
6 無線従事者の定義(操作又はその監督を行う者) No.1問4
7 識別信号の変更(申請が必要) No.2問2
8 固定局の再免許申請期間(3〜6ヶ月前) No.3問2
9 免許状の住所変更(遅滞なく届け出る) No.1問11
10 主任無線従事者の選解任(遅滞なく届け出る) No.1問12

重要な数字まとめ

事項 数値
電波の定義上の上限周波数 300万MHz(3THz)
無線局免許の有効期間 5年
固定局の再免許申請期間 満了前3ヶ月以上6ヶ月以内
欠格事由(局の免許・刑の経過年数) 罰金刑から2年未満
欠格事由(従事者免許取消後) 取消しから2年未満
特定無線局の最低局数 10局以上
二陸特:25,010kHz〜960MHzの電力上限 50W以下
二陸特:960MHz超の電力上限 10W以下
主任無線従事者講習の受講期限 選任後6ヶ月以内 ⚠️
免許証発見後の返納期限 発見から10日以内

重要用語チェックリスト

  • 電波法の目的(公平かつ能率的な利用)
  • 無線従事者の定義(無線設備の操作又はその監督を行う者)
  • 無線局・無線設備の定義(受信専用は無線局に含まれない)
  • 免許申請の審査基準4項目
  • 免許の欠格事由(局:罰金2年未満、従事者:取消2年未満)
  • 予備免許時に指定される事項(電波の型式及び周波数等)
  • 設備変更後の運用条件(検査を受けてから)
  • 固定局の再免許申請期間(満了前3〜6ヶ月)
  • 識別信号の変更(届出でなく申請
  • 電波型式:P0N(パルス・信号なし・無情報)、F2D(FM・デジタル副搬送波・データ)
  • スプリアス発射の4種類(高調波・低調波・寄生発射・相互変調)
  • 二陸特の操作範囲(25,010kHz〜960MHzは50W以下)
  • 主任無線従事者の講習期限(選任後6ヶ月以内) ⚠️
  • 主任無線従事者の選解任(遅滞なく届け出る)
  • 免許証発見時の返納(10日以内)

本記事は試験対策を目的とした学習用コンテンツです。後編(運用/監督/業務書類)と合わせてご活用ください。最新の試験情報は日本無線協会の公式サイトでご確認ください。

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